第285章

この世で「運命の相手」に出会ってしまったら――ほかの誰を見ても、もう霞んで見える。

島宮奈々未はテレビの前に座り、画面の中で微笑む丹羽光世を眺めながら、小さく毒づいた。

「……ほんと、くさい」

「だよね、くさすぎ」

背後から不意に声が降ってきて、島宮奈々未はびくっと肩を跳ねさせた。

振り返ると、そこには野呂栞。

「あなた、マネージャーのくせに起きるの遅すぎ。海人と太郎はもう現場行ったよ」

「今日は自分に休みあげるの。マネージャーもボディガードもやらされて、給料は1人分って、損にもほどがあるでしょ」

野呂栞はソファをひょいとまたぎ、あぐらをかいて腰を落ち着ける。テレビの丹羽光世...

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